2004-09-10 13:35:37

Phonem - The Mechanic Verses [ Phonem徹底解剖 ]

■大分、期間が空きましたが、この特集は私の趣味100%ですので、尻すぼみに
終わらせる気はないです。ネタが無く、余裕がある時に時間をかけてじっくり
やっていきたいと思っております。・・・完結するのは何時の事やら。

というわけで今回はJetlagから1999年にリリースされた、
The Mechanic Versesに入ります。2枚片面1曲、もう一面が
2曲の全6曲約50分収録です。こちらもアナログのみのリリースで、入手は困難。
惜しいですねー。このレーベルも再プレスが無さそうで何とも。むー。


The Mechanic Verses (Jetlag)


それからレーベルにトラックの視聴サンプルがあったので、曲解説のトラックに
サンプルのある曲は直リンクしておきます。形式はrmでRealplayerが必要です。
インストールされてない方は悔しさから布団をかみかみするか、どこかから
拾ってきて下さい。わー、それくらいリンクしろよって感じですね。まあいいや。

このサンプル、非常にビットレートが低いので、音が最悪ですが、
空気だけ伝われば良いかなみたいな。直リンクが良いかどうかは後から考えます。

A1-Bliphop(9:53)。Hip-Hopを彷彿させる声ネタと
その処理方法でおっと思わせます。ですが、入るビート音はいつも同様、
ビットの粗いキックだったり。アブストラクト!て感じではありませんが、
Phonemが作るビートの根源にHip-Hopの下地があるのが分かります。

このLPからハット系の音色が増え、徐々に曲に上手く取り入れられてきます。
上モノはかなり遠い位置で深くリヴァーヴをかけたシンセが鳴り、途中で蠢く
ベース的なシンセが加わったり、中盤からは綺麗なシンセが姿を現しては消え、
また空間的なシンセが今度は前面に登場してメインのメロディとなります。

キックとスネアは淡々と一定リズムを繰り返し、それをベースに声ネタが入ったり、
サブ・スネアが絡んだり。また4分前後には空間を動き回る音が入り、音響へのアプローチを
伺わせたりしています。

前作からの進化がこの1曲で分かる程、曲への手数が増えていて中々聴き応えが
ある仕上がりですね。

・裏面B1、Exon D.T(6:48)に入ります。序盤からハット系の音が
非常にテクニカルです。このアーティスト最大の魅力が本領発揮となります。
前曲も手数は増えていたのですが、この曲ほど曲に馴染んでいなかった感じでした。
この曲は流れを引っ張っていく感じで活躍する程、要となっています。

穏やかなシンセに、その雰囲気が損なわれないバランスで攻撃的なビート。
うーむ、妙技ですね。世界観を作るクラシカルなシンセとメインシンセの
音の絡み具合も良いです。堪りません。

・裏面2曲目B2-Dust Engine(7:06)で、前曲の盛り上がりも
少々クールダウン。他曲と比べ音数の少ない抑え目のビート、不穏なメロディながらも
程よい残響があるシンセでスタートし、徐々に曲が展開していきます。
スネアがカチっていうような機械的な音が非常に印象深いです。

この曲は音が増加しても余り曲展開的に起伏が少ない出来で、淡々としています。
注目すべきところは、音数がピークになった時点から、徐々に様々なタイミングで
音を抜いていくところかと。

■レコードを変え、C1-Coax(9:48)。輪郭が曖昧なシンセに彼方から聴こえる
ような距離感を付けた上モノをバックに、ロービットに加工した声ネタを
効果的に攻撃的なビートへ盛り込む、Phonemお得意な感じの曲です。
この絶妙なバランスがやはり良いです。

ビート構成の音一つ一つはかなり尖った感触なのですが、隙間とこのシンセで
中和されているのが持ち味で、中盤に一瞬、顔を見せるアナログなシンセと相まって
踊れる和やかな曲となっています。ベースラインにちょっとユーモラスな音のシンセを
使用していますが、その印象も後半へと入ってくる透明感の強い綺麗なシンセにより、
なだらかに心地良いイメージへと変貌していくところは非常に素敵です。

この曲は非常に多くのシンセを用いられており、それらが絡み合う後半は
メロディ・メーカーとしても力を見せ付けてくれます。

・緩やかに発展した前曲の雰囲気を保ちつつ、穏やかなシンセで始まる
裏面D1-Velkro(7:21)は、このアルバムで私が一番好きな曲です。

単純なフレーズながら音の柔らかさで、ほのかに暖かい気持ちにしてくれる
上モノが最大に魅力です。この音だけで、もうおなかいっぱいな感じなのですが、
いつも同様攻撃的なビートは徐々に力強さを増し、曲を発展させて行きます。

前半部分に使用されているベースが、メロディーを彩る程度に顔を出し、後半は
自己主張を始めたり、中盤から加わるざらついた金物系シンセ、断続的に繰り返される
ハット系の音、そしてそれらが無音化し、心地良いシンセだけが奏でられる
一瞬のタイミング。上手いです。

何時までもこの音楽世界に留まっていたいと思わされます。心地良すぎます。

・このアルバムラストを飾るD2Network Down(5:50)は、逆に前曲の
空気を打ち消すように強いキックが印象的な曲です。というかビート自体が
強いですね。

シンセは裏面2曲の叙情性溢れるような音もありますが、やはりビートに重点を
置いているようで、淡々と進行します。このため、曲展開は細かく、そして
めまぐるしくパターンを変えるビートが主体。上モノが主張するのは中盤以降、
アルペジオのようなメロディとPhonemにしては珍しいかもしれません。

声ネタビートも巻き込みつつ、それらが一体化して曲は盛り上がりを見せて
終了します。印象に残るのは声ネタの言葉ですが、英語に弱い私は何と言ってるのか
分からないのが非常に切ないです。といいつつ、切実に知りたいわけでも無いので
音の断面として受け止めたりして。駄目ですか。

■総評です。声ネタが多く、Hip-Hopフレーバーな強い作品ですね。
力強いビートが魅力的な曲もあれば、非常に心地良いシンセが心地良い曲もあり。
Phonetikに比べて、ハット系のリズム構築も大分進化してる事が
分かります。といいつつ何といってもVelkroに尽きます。
Phonemファンはぜひぜひ、この曲を聴いてから人生を終えて下さい。
・・・わぁ、凄い宣伝文句ですね。

ちなみに私はこの作品をヤフーオークションで見つけ、当時クレジットカードを
所有していなかった私は全部の歯が砕ける程、歯軋りしたものです。
ちなみに入札価格は3,800円からで、はっきり言ってぼったくりな感じですが、
まぁファンにとっては安いものかと。

■さーて。次にご紹介するのは・・・出ました、Hydro Electricです。
余り期間を置かずにご紹介出来たらと思う次第です。


Hydro Electric

Posted by aphex at 2004-09-10 13:35:37 | コメント(0) | Trackback(0)

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2004-05-26 12:25:03

音楽遍歴(?) [ Phonem徹底解剖 ]

■今回はかなり個人的な話になります。
ていうか思いっきり私事の内容。
なのでカテゴリは音楽にしないでおこうっと。

私がエレクトロニカの世界に足を踏み入れたのは
2001年9月、1つの作品がきっかけとなりました。
それはAphex TwinDrukqs


Aphex Twin / Drukqs(Warp)このアイテムの詳細を見る

当時、人気のあったヘヴィ・ロックばかり好んでいた私は、
ブームにかこつけてリリースされる幾多もの同じような
内容の音楽に辟易していました。

その前から、友人にSquarepusher
Port Rhombusを教えてもらい、それなりに衝撃を
受けていたわけですが、まだ傾倒する程ではなく、
非常に退屈していたわけです。

Port Rhombus E.P.SquarepusherWarpこのアイテムの詳細を見る


Squarepusherを調べ、Aphex Twinの名前に
辿りついていたものの、名盤と言われていた
Selected Ambient Works 2を聴いても、全然感銘を
受けず、どうしたものかと思ったりもしました。
まぁ、考えてみれば当然なんですけどね。ドリルンベースを
求めていたのに、ビートの弱いアンビエントを
聴いたわけですから。

■そんな中、Drukqsがリリースされました。
アーティストが大御所ですから、当然試聴機で聴く事が出来、
私は余り期待せずにヘッドホンを装着したものです。

1曲目、ノンビート。ですが、金物系の弦のような音がメロディを
奏で、メロディが空間的に重なる音の広がりに耳を奪われ、
音楽に没頭し始めます。そして迎えた2曲目・・・。

高速。音の洪水。目まぐるしく変わる展開。
あの時の衝撃を、私はいまだに忘れる事がありません。
ずっと聴いていたい欲望に駆られつつ、すぐさま停止ボタンを
押し、このCDを購入したのでした。

■以来、Aphex Twinの音源を、大手ショップで買える物
全て集めたりし始めました。ネットで色々教わったりしつつ、
徐々にエレクトロニカの世界に入っていきます。
そして行き着いたレーベル、それがMorr Musicでした。

その頃には、各レーベルのカラーを打ち出すコンピが
ある事を知っていたので、収録されたアーティストを
片っ端から調べたものです。そこでPhonem
音楽に触れる事が出来たのでした。

PhonemHydro Electric。これは私が2年半もの間、
ひたすら調べ、聴いてきたエレクトロニカの世界で、
最も強い輝きを放つタイトルです。


Phonem / Hydro Electric


このタイトルはネットで音源を聴いたため、どうしても現物が欲しく
なりました。しかしエレクトロニカの世界は初回プレスのみが
ほとんどで、あっという間に入手困難になってしまいます。

Hydro Electricがリリースされたのは2000年。
すでに市場から姿を消しており、さらに当時、余り情報網のない
私はネット通販出来るお店もほとんど知らず。海外通販すれば
手に入るのですが、クレジット・カードを持たない主義の私は
それもままならない状況。ひたすら地元のお店・ネットを
徘徊し、探し求めていました。

■で、先日、このタイトルを検索してみたところ、アナログを
入手出来る通販ショップを発見。「在庫僅少」との事でしたが、
駄目元でぽちっと。CD主義の私は、アナログの購入に二の足を
踏んでいたのですが、いずれCDも入手出来れば良いかと、
軽い気持ちで発注。すると確認メールが届き
「この商品は在庫がありません」。
・・・なんだそれー!

なので、駄目元で過去に入荷があったサイトにも
発注してみました。まぁ駄目なんだろうなと諦めていた今日、
前者のお店から商品が届きました!わー、凄い嬉しいです。
商品より送料のが高いっていう事は内緒ですけど。

というわけで、今回のお話は私の音楽遍歴と見せかけた
ただの自慢でした☆
やばーい凄い嬉しいです。でももう1枚来る
可能性あるんですけどね。

このタイトルのレビューはいずれします。
現在はMechanic Versesをレビューしておりますが、
私の筆力の無さから難航中だったりして。

Posted by aphex at 2004-05-26 12:25:03 | コメント(185) | Trackback(0)

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2004-04-27 14:59:03

Phonem - Phonetik [ Phonem徹底解剖 ]

■第1回はデビュー12\"のPhonetikMorr Music)。
全4曲約40分で、アナログのみのリリース。入手はほぼ不可能で
国内だとMacmanusRecords
購入出来るかもしれません。後は海外通販もしくは、
中古市場を探すしかないと思います。
海外ならばGEMMで。



・A1のPact (8:49)で幕明けしますが、この曲ですでに
Phonemの音楽スタイルの原型は確立されています。
単調なロービットのハイハット系の音に、ザッという
ざらついた音をイコライザなどで
周波数を変えてうねりを出し、変化を付けるイントロ。

そこへ残響音が強く透明感のあるシンセが、綺麗なメロディを
奏でます。そこへ厚みのあるキック、乾いた音色のスネアが
加わります。ざらついた音は一定の間隔で姿を見せたりし、
中音域ながらもベース的な役割のシンセが加わります。

まだざらついたハイハット系の音は、リズム・メロディ化されて
おらず、この辺にまだ甘さが残っていますね。

・A2-Phonetik(9:31)、表題曲です。
キックとスネアでひたすら押す、力技が見れます。
リズムはミニマル的(私の中で同じリズムパターンを差します)。
スネアはロービットで処理された音、キックは厚く重たい。
ハイハットはツッツッツッツ・・・と一定リズムのものを
ベースに、様々な音を取り入れ、4分30秒前後に
ボコーダー加工した声ネタが登場。

シンセは中盤までベース的なものと鉄琴を柔らかくした上モノで
メインメロディーを奏でます。その後、ベース的なものを消し、
ピアノの音を入れたり、徐々に音が大きくなるアタックを遅めに
設定した滲むようなシンセなどが混じります。

この曲はシンセの絡み具合が非常に上手く、単調なリズムでも
9分以上、リスナーの集中力を保ち続けます。良い曲です。

・裏面に入り、B1のPact(9:39)。
この曲は異色な入り方です。ビットを崩しまくったハイハットを
繋げ、ほぼノイズ状態でリズムを作っています。かなり攻撃的です。

シンセもベース的な音を、民族音楽のようなメロディで
用いており、非常に異質な感じです。ですが、2分を経過する辺りから
深い空間エフェクトをかけたシンセが入り、中盤からラジオのような
音質の金物っぽいシンセが美麗なメロディを奏で、Phonemの世界と
なります。

全体的にノイズ・コラージュされたような印象を受ける曲ですが、
後半、その合間に覗くリズム変調が面白かったりします。

・このEPを締めくくる最後の曲、B2-Bitstream(11:23)。
AgendaからリリースされているコンピDocumenta
収録されています。

これも異質。んー、深いアンビエント的なシンセに、遅いテンポで
キック、ディレイをかけた金物的なスネア。Arovaneに近い
ような近くないような・・・という感じです。
それでもやっぱり機械のようなハイハット音が入ったりするので、
音の面白さはあります。

3曲目のハイテンションを、この曲でクールダウン。
12分もあるので、まったりアンビエントの世界を
楽しんで終了です。

■総評となりますが、メロディの部分ではおよそ
完成されていますが、リズムはまだ発展途上。そのため、
物足りなさも感じます。ハイハット系のリズムと、
メロディの絡みが最大の魅力といえるので、
初めてPhonemを聴くのはこのEPじゃない方が良いです。

といっても、入手は困難。ファンのみ持っておきたい感じですね。

Posted by aphex at 2004-04-27 14:59:03 | コメント(13) | Trackback(0)

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2004-04-21 17:11:53

新カテゴリ「Phonem徹底解剖」追加、はじめに [ Phonem徹底解剖 ]

■どうも最近はニュースも新たに聴いた
音源もなく、いつものように更新が滞るのが
目に見えています。ので、今回は私が理想とする
音楽をリリースしてくれたPhonemという
アーティストを徹底的に書いてみる事にします。


PhonemことEliot Perkins

■彼の音楽は、基本的にシンプルで、キックとスネアは
オーソドックスに配置されたものを、ミニマル的に
繰り返します。特筆すべきは、ハイハットの多様さです。

Lo-Fiでビットを崩した「ザッ」という音や、ガシャというような音、
人の声をボコーダーにかけた音。
グリッチからクリックノイズなど、
攻撃的な音を様々取り入れつつ、絶妙なバランスで
複雑に絡み合わせ、ビートを構築しています。

Phonemの曲は基本的に5分以上で、10分を超える曲も
少なくないのですが、ハイハット関連が多彩な事から、
シンプルなキック・スネアにも関わらず、飽きる事がありません。

上モノはアンビエントのように深い空間系で綺麗な音を好んで
使用しています。ビートの攻撃性とシンセの和やかさは、
相対するものでありながら、上手く絡み合っているのは、
ビート部分もメロディとして主張しているからに他なりません。

Post・Autechreと呼ばれる連中と、一緒くたに見なされる事も
多いですが、それら有象無象とは頭抜けた存在であり、
メロディ・リズム・音選択のセンスが私の好みなのです。

好みによって評価は左右しそうですが、一度聴いたら
記憶に残る印象の強いアーティストには間違いありません。

■本名Eliot Perkins、英語語学教師兼ダイバーだとか。
1999年にMorr Muicから
12\"で4曲入りのPhonetik(MM004)でデビュー。
同年、リリース先をJetlagへと
変え、The Mechanic Versesをリリース。

翌年2000年9月にMorr MuicからHydro Electric
2002年1月に同レーベルからIlisuのドロップを最後に、
音楽活動を終了した・・・との噂。信じたくないですね。

Phonemのその他の活動としては、2001年8月に
DinC.C.Oでお馴染みの
ArovaneとコラボしたAer(Valid)Vertical Form)、
別名義Spikeで12\"のOperation Binary 24
政治的メッセージの強いレーベルBeta Bodega
傘下レーベルRice And Beansからリリースしております。

わずか3年という音楽活動の中、単体名義で5枚、
コラボで1枚を残したPhonem
このカテゴリでは、筆者の思い入れたっぷりな自慰的文章を、
アルバム単位、曲単位で、徹底的に書き連ねます。

Phonemファンに。また、これを読んで少しでも多くの方が
彼の音楽に触れるきっかけとなれば幸いです。

Posted by aphex at 2004-04-21 17:11:53 | コメント(12) | Trackback(0)

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